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障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会の設置についての要望書

2020年06月24日 地域生活要望・声明

2016年に発生した障害者殺傷事件の現場となった、神奈川相模原市の県立「津久井やまゆり園」では、利用者への虐待の疑いが浮上していました。そのため県は今年1月、第三者の有識者による検証委員会を設置し、5月14日に中間報告書を県に提出しました。

ところが5月18日に突然、県は虐待に関する検証の中止を表明しました。事件の本質にふたをするような県の姿勢に対し、一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会、特定非営利活動法人 全国地域生活支援ネットワーク、「ともに生きる社会」を考える神奈川集会・実行委員会、DPI日本会議の4団体連名で、神奈川県知事に以下の要望書を提出しました。


2020年6月24日

神奈川県知事
黒岩 祐治 様

(認定NPO法人)DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり
(一社)全国手をつなぐ育成会連合会
会長 久保 厚子
(特定非営利活動法人)全国地域生活支援ネットワーク
代表理事 大原 裕介
「ともに生きる社会」を考える神奈川集会・実行委員会
委員長 鈴木 治郎

障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会の
設置についての要望書

 神奈川県におかれましては、平素より、障害者施策の推進にご尽力賜り、心より感謝申し上げます。

 2016年7月26日、19人もの尊い生命を奪い、26人に重軽症を負わせた「津久井やまゆり園殺傷事件」の植松被告に対して、3月31日、死刑が確定しました。私たち障害当事者や家族はこの事件の背景や原因は決して植松被告個人だけの問題でなく、優性思想を生み出している社会にあると考え、その究明を裁判に期待しました。残念なことに裁判では植松被告個人の責任能力の有無に焦点が当たり、植松被告の「重度障害者は不幸しか作れない」、「殺した方が社会の役に立つ」という主張の背景や原因を深く掘り下げることはできませんでした。しかしながら、判決文では、「犯行動機の中核である被告人の重度障害者に関する考えは、被告人自身の本件施設での勤務経験を基礎」として、津久井やまゆり園における入所者への対応状況が背景にあったことを明言しています。

 今年の5月18日、第三者機関である「津久井やまゆり園利用者支援検証委員会」(以下、検証委員会)の「中間報告」が公表されました。この報告によれば、「身体拘束を行う場合は、『切迫性』『非代替性』『一時性』の3要件の全てを満たす必要があるが、園では3要件のうち1つでも該当すればよいと認識しており、会議で伝達されていた」、「24時間の居室施錠を長期間にわたり行っていた」ことや「身体拘束を行う場合の、園内での内部決裁を行う手続きについて、身体拘束の理由が未記載など、記載内容が不十分にもかかわらず決裁されていた」などの検証結果が報告されており虐待が存在していたという報告がされています。

 今後、検証委員会を改組して設置される「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」(以下、検討部会)では事件の背景と原因の究明が求められますが、そのためには検証委員会の「最終報告」(あるいは、少なくとも「中間報告」)を検討の入り口として議論できるような運用が必要です。判決で明らかになったとはいいがたい植松死刑囚の直接的犯行動機の形成過程と職場での他の職員の利用者への対応状況等が発覚した虐待案件と関係があるのかないのか、丁寧に検証される必要があることは明らかです。そのためにも、検証委員会の「最終報告」(あるいは少なくとも「中間報告」)を議論の入り口とすべきと考えます。史上最悪となった障害者殺傷事件の舞台となったやまゆり園における虐待事例の検証を曖昧にしたままでは本事件の本質的な解明にはつながらず、利用者目線の福祉、利用者や家族の安心、安全にはつながりません。よって、以下、要望いたします。

1.検証委員会については「中間報告」で終わりとせず、検討部会と並行して検証委員会を継続開催して「最終報告」を作成し、その最終報告を神奈川県やかながわ共同会がきちんと受け止めるプロセスを確保してください。

2.設置される「検討部会」は公開するとともに、必ず議論の入り口は検証委員会の最終報告(あるいは、少なくとも「中間報告」)としてください。また、構成員に知的障害のある当事者や家族、関係者などを加え、幅広い層の実質的参加を保障してください。

【連絡先】
(認定NPO法人)DPI日本会議(担当:崔(さい))
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-11-8武蔵野ビル5階
電話:03-5282-3730/ FAX:03-5282-0017
メール:sai@dpi-japan.org
(一社)全国手をつなぐ育成会連合会
〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-17-6 第三和幸ビル2F-C
電 話:03-5358-9274
(特定非営利活動法人)全国地域生活支援ネットワーク
〒061-0231 北海道石狩郡当別町六軒町70-18
電 話:0133-22-2896
「ともに生きる社会」を考える神奈川集会・実行委員会(担当:小野(おの))
〒231‐0052 神奈川県横浜市中区英町3-4自立生活センター自立の魂
~略して じりたま!~内
電 話・FAX:045-341-3698
メール ono@jiritama.jp


▽要望書はこちらからダウンロードできます(ワード)

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