障害のある人もない人も同じように暮らせる社会へ

公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療の中止に関する声明を発表しました

2019年03月22日 要望・声明尊厳生

2019年3月22日

特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議

議長 平野みどり

 

公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療の中止に関する声明

 私たちDPI日本会議は、国際障害者運動ネットワークDisabled Peoples’ International(1981年国際障害者年を機にシンガポールで結成され、現在130カ国以上が加盟している)の国内組織として1986年に発足し、全国96の障害当事者団体によって構成されています。私たちは、社会のあらゆる場面で、身体障害、知的障害、精神障害、難病など、障害のある人もない人も共に生きるインクルーシブな社会(共生社会)の実現に向けて活動しており、医療における平等も当然、私たちの目指すところです。

この度の公立福生病院での女性患者に対する腎臓透析治療の中止には、以下のように重大な誤りが複数あると考えられます。まず、医師の側から治療停止が提案されたこと、さらに亡くなる前日に尿毒症の苦しみを家族に訴え、家族は治療の再開を申し出たにも関わらず無視したこと、及び、そのような苦しい症状になり得ることを説明せずに医療知識のない者に対して意図的に治療停止を選択肢として示したこと、倫理委員会等の手続きを経ず、治療停止の提案から中止までが拙速に行われたこと、これらの結末として、死に至らしめたこと等には大変に問題があると考えます。

福生病院の松山健院長は、「いろいろな選択肢を与え、本人が(透析治療の中止を)選んだうえで意思を複数回確認しており、適正な医療だと考えている」「透析治療を受けない権利を患者に認めるべきだ」とのコメントを出していますが、報道によれば、患者本人は苦痛を訴え何度も迷いを口にし、死の前日には夫に向けて「とうたすかかか(「父ちゃん助けて」と読める)」と打ち込んでいたなど、本人の同意に不明な点がある以上、適正な医療とは言い難く、福生病院での患者の「治療を受ける権利」にこそ疑わしいものがあります。

障害や病気を理由に差別されることなく必要な医療が受けられ、治療の選択における自己決定を尊重することは、私たちも主張してきたことです。ただし、その場の状況により、本人の意思が不明な時、本人が迷っている時はもとより、治療の不開始や中止の意思を、口頭、素ぶり、独自の意思伝達方法等の意思表示で撤回や迷いを表明した時は、生命尊重の原則を違うことなく、治療を開始し継続することを求めます。特に緊急を要する時は、本人の現在の意思を最優先として、話し合いによる合意形成や事前指示書等の書面の書き換えを待たずに、治療することが必要です。
さらに、治療の不開始や停止に関する本人の要望には、十分に時間をかけて、本人の気持ちを聞くようにして、治療を受けることによる身体的、精神的、社会的苦痛の緩和を解決するようにすること、倫理委員会の構成メンバーには当事者カウンセラーも含めるようにすることを私たちは求めます。

私たちは過去において、安楽死・尊厳死を推進する法律の制定に反対し、難病や障害を持つ者に対する治療を無益・無駄とする考に基づいた医療に反対を表明してきましたが、本件のような形で治療中止が現実に行われていること、しかもそれが「尊厳死」などと呼ばれ、なし崩し的に既成事実化されることに、驚愕と怒りと恐れを覚えています。
治らない病や障害を持つ者の生存に必要不可欠な治療のことを、「単なる延命」「無益」「無駄」などと断じて、治療の不開始や中止を強制したり、誘導したりすることがない、社会や医療のあり方を私たちは強く望みます。

以上

▽声明(PDF)はこちらからダウンロードできます

 

 

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