障害のある人もない人も同じように暮らせる社会へ

「優生手術等の立法措置基本方針案に関する要望書」を提出しました

2019年01月16日 権利擁護要望・声明障害女性

旧優生保護法下での優生手術の被害者への補償を定める法律案について「与党旧優生保護法に関するワーキングチーム」及び「優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟(以下、議連)法案作成のためのプロジェクトチーム」において検討が続けられてきました。

昨年10月末にその骨子案が報道され、DPI日本会議は11月5日に両チームに対し要望書を提出しました。

その後、基本方針案が2018年12月10日の議連総会で発表されたため、本日、改めて下記の要望書を提出しました。

▽「基本方針案」ワード版はこちら

▽優生手術等の立法措置基本方針案(2018年12月10日発表)に関するDPI日本会議要望書(ワード版)


2019年1月16日

優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟
会長 尾辻秀久 様

特定非営利活動法人
DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり

旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する
一時金の支給等に関する立法措置について(2018年12月10日基本方針案)
に関する要望書

DPI日本会議は、障害の有無に関わりなく誰もが分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するための取り組みを進める、全国96の加盟団体からなる障害当事者団体です。

私たちは障害当事者として、優生手術は障害者の生殖の権利に対する人権侵害であり、国は被害者への謝罪と賠償等を早急に実施すべきと訴えてきました。

昨年より、国会議員の皆様が被害者への立法措置について検討を続けて来られたことに敬意を表し、関心を持って注視して参りました。

既に昨年10月31日に報道された骨子案概要に対し、11月5日付で要望を出させて頂きましたが、12月10日に示された基本方針案に関して、以下の点についてぜひとも実現して頂きたく、新たに要望させて頂きます。

○調査・研究について

6.その他に[※優生手術等に関する調査の在り方については、法律案を提出するまでの間に検討する]とのことですので、下記の通り提案いたします。

再発防止と人権回復への取り組みとして、被害者・障害当事者・支援者・研究者を構成メンバーとする第三者機関としての検証委員会の設置を求めます。

【理由】

高齢となる被害者への謝罪や補償を急ぐことは必要ですが、それとは別に「なぜ日本国憲法下で、このような人権侵害が行われたのか?」を調査・研究して報告書にまとめる起草委員会としての機能を持つことを求めます。

決して加害者を見つけ出して処罰するといった個人を責めるための検証ではなく、再発防止のためのものであり、この法律下で何が起きたのかを明らかにするためのものです。

(1)構成メンバーとして、これまで優生思想について研究してきた専門家、現在も優生思想により心身を傷付けられることのある障害当事者(特に月経介助軽減等の理由により被害に遭いやすい障害女性)等を含めた第三者委員会とする。

(2)優生保護法被害者からヒアリングを行い、その声を反映したものとすること。

以上


■以下、再掲(11月5日要望分)

○法律名称について

「救済法」ではなく、「人権回復法」とすることを求めます。

【理由】

基本方針案についても「救済法」という言葉が使われなくなったことを高く評価します。そのうえで「人権回復」という言葉の入った立法を望みます。

優生保護法は障害のある人や遺伝性の疾患のある人を、「不良」と定義づけ半世紀近く存在しました。

1996年に優生条項を削除し、母体保護法に変わってからも被害の声が挙がっていることからも明らかなように、未だ優生思想として社会に根付いています。

優生手術被害者だけでなく、全ての障害者への偏見・差別として今も生きています。

2016年に起こった津久井・やまゆり園障害者殺傷事件や2017年寝屋川精神障害者監禁致死事件、昨年2月に発覚した兵庫県三田市障害者監禁事件からも、優生思想が根底にあることは明らかです。

よって「人権回復法」とすることで、単に被害者への補償のみで終わることなく、真に障害者の人権を回復し、再発防止策を明記することを求めます。

1 前文
(1).「おわび」の明記について
「おわび」の文章を入れることを検討されていることを評価します。ただし、「おわび」ではなく、「謝罪」とすることを求めます。
「我々」ではなく、「国」と明記してください。

【理由】責任の所在を明確にすることが求められます。

(2)違憲性に言及し、何に対しての謝罪なのかを明記してください。

【理由】優生保護法は、障害者や遺伝性の疾病のある人々の子どもを持つ・持たないという極めて個人的な自己決定権を奪い、人としての尊厳を傷つけました。

このことが日本国憲法に違反することは明らかです。憲法違反であったことに対して明記した上で謝罪してください。

(3)国の責任が明記されたことを評価します。この文章は必ず残すようにしてください。

2 対象者

強制不妊手術のみでなく、同意に基づく手術、書類の有る・無しや術式に関わらず、広く対象としたことを評価します。しかし、法を逸脱した子宮・睾丸摘出、放射線照射などは、1996年以降の手術についても対象とすることを求めます。

【理由】法律改正後も、障害女性の月経介助軽減のため等の理由で子宮摘出等の手術が行われています。

法を逸脱した手術は、法律の規定によらないため、法律が改正された1996年時点に限定せず対象とされるべきと考えます。

3 一時金の支給
対象者に対して、海外の事例を参照して一律の一時金を支給するとのことですが、社会保障体制などが
違うため、現在の日本の社会状況に見合う金額とすることを求めます。

【理由】その他の社会保障制度が違っている国と日本では、補償金額の重さが違います。
なお、家族に一時金を搾取されることを懸念し、「年金方式」という意見があったようですが、年金であっても搾取される可能性はあること、何より生存期間により受け取る金額に違いが出ててくるため、現骨子案の通り「一時金」とすることを要望します。

4 権利の認定
(3)において、「この請求期限については、この法律の施行後における一時金の支給の請求の状況を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとする。」との文言が入ったことを評価します。必ず記載・施行されるようにしてください。

【理由】優生保護法被害者は、自分が被害者であることを知らない人も多くいることが想定されます。
また障害により周知が行きわたらない可能性もあるため、本人に伝わるまでに時間がかかることも想定し、柔軟に対応できるようにすることを求めます。

5 周知等
※具体的な周知等の措置のイメージの中の、「・行政による相談窓口の設置」においては、相談対応する職員へ、障害当事者団体や優生保護法被害者に寄り添い活動してきたグループ等による研修を行い、被害者の立場に立って相談を受けられるようするよう要望します。

なお、上記に追加して
○「行政機関が把握できている被害者に対して、被害者の人権に充分配慮した上で原則通知すること」の追記を求めます。

【理由】むやみに通知することは、家族に知られたくないという人や、嫌なことを思い出させて再び被害者を傷つけることとなってしまうことは、想像できます。

しかし、本人が申請できない理由には様々なケースが考えられます。

障害特性により自ら申し出られない、被害者であると認識していない等です。

まずは「あなたの人権を傷つけたので、謝罪して尊厳を回復したい」と述べ、障害者への偏見・差別をなくす取り組みを行うと同時に、後述の認定審査会で慎重に議論し、通知すべきと考えます。

それでも通知が難しい場合、本人が自分から申請できるよう、人権回復の法律ができたことと申請の方法を、広く広報していただくことを求めます。

行政が把握できていない多くの被害者にとっても、これは必要不可欠です。

※具体的な周知等の措置のイメージの中の、「・報用ポスター・パンフレットの活用」について
広報媒体や方法については、新聞での一面広告やウェブ、例えばろう者や知的障害者にもわかりやすい言葉やイラストを使ったパンフレット、手話・字幕付き動画、録音テープなど多様な媒体を使って広く当事者や家族に伝えることを求めます。

6 その他
一時金に公租公課を課さないことを明記することを評価します。

以上

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