障害のある人もない人も同じように暮らせる社会へ

大規模災害時・障害者支援センター & 救援本部立ち上げマニュアル

福島の被災地視察の写真 救援本部事務所前での物資搬送準備の写真

このページの目次

1995年阪神淡路大震災、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、大規模災害時の被災障害者の状況は、まったく変わっていません。被災障害者への支援は、障害当事者自身が立ち上がり、全国・世界各地から支援者と資金を集め、活動を行う必要があります。

支援活動は、

  1. 直接支援を行う「支援センター」
  2. 支援活動の初動・後方支援を担う「救援本部」
  3. 必要な支援を届けるため、そして過ちを繰り返さないための「政策提言」

という3本の柱で行います。
発災から3日以内に必要な支援が被災地に届き始め、発災から1ヶ月以内には活動に必要な機能が揃っている状態となります。

大規模災害発生時の動き~イメージフローチャート

被災地の支援拠点:障害者支援センター

どこでどのような形で災害が起こるかわからない日本。そして、どこがどのような形で、被災障害者の支援活動の拠点となるのか、その役割を託されるのかわかりません。被災地での状況、支援活動で向き合う現実は、日々刻々と変化します。支援の形に正解はなく、答えも得られないまま「とにかくやってみる」の連続です。

●支援センターの役割●

●支援センターの主な活動●

  1. 被災障害者の安否確認
    【課題】福祉サービスを利用していない在宅障害者の情報をどのように得るか
  2. 被災障害者・団体への救援物資配布
    【課題】避難所での配布物資では賄えない、衛生用品・医薬品、福祉用具等の供給
  3. 電話や避難所・事業所訪問によるニーズ調査
    【課題】避難所に避難できない障害者へのアプローチ
  4. 個別支援(相談支援、ボランティア派遣、物資提供、移動支援など)
    【課題】長期滞在可能なボランティアの確保
  5. 情報の収集・提供・発信
    【課題】運営スタッフの負担にならないための、救援本部との意識的な連携
  6. 連携団体や、個人の開拓
    【課題】共に活動する仲間を、どう増やしていくか

●被災地障害者センターの立ち上げから準備まで●

1.被災地障害者センターの立ち上げ

(1) 構成団体について

大規模災害が発生し、現地での支援拠点が必要と判断された場合、直ちに複数の地元団体に声を掛け、構成団体としての連携体制をつくりましょう。

(2)本部機能について

事務所の所在地、代表、事務局長、会計という役割について、仮でも良いので立ち上げと同時に定めます。その上で、事務所開設の準備、寄付金や活動資金の窓口となる銀行口座の開設を進めます。

2.事務所・宿泊施設・倉庫の準備について

(1)事務所について

センターの運営には、事務所に常駐できる人員が必要です。電話・来客応対、支援活動の指示・本部機能として、3名ほど地元で確保します。事務所の開設に際して、以下の機能が必要となります。

(2)ボランティアの募集について

事務所開設準備が整った段階で、全国に向けてボランティアを募集します。発災から3ヶ月間ほどの緊急支援期~仮設住宅への入居完了期までは、

をボランティア要件としてきました。これは障害者支援の経験の差や、人員の入れ替わりが多くなることでの混乱を最小限にするために設定しましたが、状況に応じてボランティア要件を設定して募集してください。

●支援センター立ち上げ・運営のための様式集●

この様式集には、東日本大震災や熊本地震において、実際に支援センターで使われていたものが収録されています。これらのファイルを参考に、各地域・各センターに合わせて活用してください。

支援センター立ち上げ・運営のための様式集

初動・後方支援の要:障害者救援本部

災害時の支援活動が少しでも活動が円滑に進むように、後方支援としての『障害者救援本部』があります。
救援本部は、阪神淡路大震災の被災・支援経験をもとに、2011年東日本大震災、2016年熊本地震において、DPI日本会議・自立生活センター協議会(JIL)・ゆめ風基金を代表団体として組織してきました。

同じ障害者同士だから、厳しい状況が容易に想像できる。思いを馳せることができる。だから動ける。
私たちには阪神淡路大震災・東日本大震災・熊本地震の被災経験や支援経験がある。
そして、障害者が地域で生活するために作り上げてきた、30年以上に渡る全国・世界のネットワークがある。

あらゆる力を合わせて活動を展開するために、救援本部は組織されます。

●災害発生から24時間以内 すぐに取り掛かること●

1.情報収集

身の安全を確保することを第一に、震源地や被災状況についての情報収集を行います。被災地近隣の関係団体(DPI・JIL加盟団体、ゆめ風ネット団体等)・関係者の有無を確認します。

★大規模災害発生直後は、電話回線のパンク等、通信環境も混乱するため、不要不急の連絡を控えるなど、電話での通話利用は最低限にすることが重要です。
ツイッターでの情報収集、LINE@での安否確認などSNSをうまく活用しましょう。

東日本大震災時は…

東京近郊では計画停電の影響により、呼吸器ユーザーの緊急対応が必要となりました。電車の運休やガソリン不足により移動手段が奪われ、介助者の調整や発電機の確保、停電中の連絡・通信手段の確保や調整などの課題に直面しました。

2.被害状況の把握、共有・発信~情報集積の「場」を決める

関係者間で情報が錯綜しないように、複数のツールを同時に利用せず、メーリングリスト、SNS等インターネットを活用した情報共有方法を決めましょう。

★被災障害者の状況についての情報発信、問い合わせ対応が可能な体制を、いち早くつくることにより、今後の活動に必要となる支援・情報・機会の獲得につなげます!

東日本大震災時は…

救援本部の関係者間での連絡方法(既存・新設のメーリングリスト)が多く、各団体独自の動きも同時進行だったため、当初、情報を一本化することはスムーズではありませんでした。

3.救援本部・支援センターの設置検討~だれを対象になにをやるのか

★具体的にどのような活動を行うかによって、その規模や体制は変わってきます。救援活動の中心を担う人の状況によっては、各団体の体制を変えて取り組む必要も出てきます。事の重要性、甚大性に影響され冷静さを失うことのないよう、あくまでも被災地の障害者のために何ができるのかを考えましょう。

東日本大震災時は…

故・三澤了さん(元・DPI日本会議議長)が呼びかけを行い、発災から3日後の14日(月)、交通機関の混乱が続く中にも関わらず、約30名が各地から集まり、救援本部発足に向けて検討を行いました。想定される支援活動は、検討するまでもなく、三澤さん作成の資料にすでに記載されていました。

2011年3月14日 救援本部発足準備会 三澤了さん作成資料(原文)

●災害発生から48時間以内 準備と検討●

1.現地視察から、必要な緊急支援の準備へ

★「不平等」を恐れず、必要とされる支援を必要な人に、できるだけ早く確実に届けることを第一に考え、方針を決めます。刻々と変わるニーズに対応していく手探り状態の活動が続きますが、『被災地の障害当事者の利益を最優先する』という意識が何より大切です。

東日本大震災時は…

救援本部の発足決定と同時に、ゆめ風基金からの資金提供を受け、物資運搬と現地使用のための車両の購入を決めました。リフトカーについては確保が難しく、各地の自立生活センターから貸与されました。支援要員の派遣については、救援本部発足前からすでに個別に要請があったものに、各団体が積極的に応じ、現地の状況や支援ニーズが共有されました。

2.救援本部の体制についての検討

★必要な本部機能として、①救援物資の購入・搬送、②支援金の呼び掛け・金銭管理、③ボランティア募集調整、④現地との調整、⑤広報活動、⑥その他状況に合わせた人的・資金的サポートが挙げられます。DPI・JIL・ゆめ風基金の役割分担を明確にし、各事務局や加盟団体・関係団体の動きについて決定します。

東日本大震災時は…
  • 広域かつ緊急での対応が多かったため、組織的な動きに固執せず、被災地の状況を最優先とする判断を各所でおこないました。費用決裁についても上限金額を決めて、現場での判断をOKとしていました。
  • 情報の集約場所として、救援本部ホームページを開設しました。現地の情報はゆめ風基金のブログでの発信をメインに、英語での情報発信はDPIのブログを活用しました。
  • 支援金については、支援者と団体の関係性が様々であることから、DPI・ゆめ風基金・救援本部各所で受入を行いました。義援金との違いとして、『寄附金控除』については、支援呼び掛け文書にも記載し、寄付者への情報提供を丁寧に行うことを意識しました。

●災害発生から72時間以内 救援本部発足と活動開始●

1.外に向けた活動

★日本障害フォーラム(JDF)との連携は不可欠です。救援本部は別組織として活動を展開してきましたが、福島や熊本では共同で支援拠点を立ち上げました。各地の事情や支援方針、スタッフ統制方針の違いがあるため、被災地の状況を最優先して、連携しやすい形を作りましょう。
★『被災障害者への支援活動』に特化した活動をアピールすることにより、マスコミ報道ではなかなか取り上げられない被災地の障害者に関する情報を求める声が、全国・世界各国から寄せられます。関係団体以外の障害者団体からの情報提供や資金提供等の様々な支援の獲得にも繋がります。
★支援センターに個別に問い合わせが来ても対応ができないため、情報収集・状況報告・情報発信は、救援本部の方で対応する方が良い場合があります。「ホームページを見て」というだけでは、具体的な支援や活動に繋がりにくく、紙媒体の広報誌、メーリングリスト、メールマガジン、ブログ、関係団体への拡散依頼など、工夫する必要があります。

東日本大震災時は…
  • マスコミや自治体、赤十字が募る『義援金』は、NPO等による支援活動に回されることはなく、障害者のための活動には『支援金』という形で資金を得る必要があることをアピールし、全国の自立生活センター等による街頭カンパ活動を行いました。
  • 海外への支援呼び掛けについては、翻訳ボランティアの協力を得て10言語に訳され、ホームページより発信し、10カ国以上から支援金と応援のメッセージが届きました。活動報告についても、ボランティアを募集し、英語での発信を続けました。

2.支援拠点のための活動

★量的にニーズに対応し切れない物資や、医療機器など店頭で購入が難しいものについては、支援金の呼び掛けと合わせて、提供依頼を広く発信します。
★ボランティアに関する問い合わせは数多く入ります。活動に際し条件がある場合なども多く、支援センターでの調整が難しい場合は、本部でコーディネートを行い調整します。
★医療的ケアが必要な方など、被災地での安全確保や充分なサービスや物資を得ることが難しい場合に、他地域において受入が可能な自立生活センター等につなげる必要があります。
広域連携拠点整備事業について

東日本大震災時は…
  • 発災直後、ニーズの多かった救援物資
    4駆自動車・軽自動車、リフトカー、ガソリン、カーナビ、電動自転車・自転車、食料品、衣料品、簡易トイレ、インバーター、使い捨て介護シート、折りたたみベッド、布団一式、シャワーチェアー、段差解消材、経口保水液、経口栄養剤、紙おむつ、尿取りパット 清浄綿、アルコール消毒液、医薬品類、手すり、生活家電製品、ガイガーカウンター
  • ボランティアの受入は、現地の支援センターでも行っていましたが、活動に対する問い合わせを始め、活動場所を問わない場合などについては、救援本部で派遣の調整を行っていました。どの現場も常時10人以上のボランティアを必要としましたが、5月の連休以降減少傾向となり、障害関係団体へ協力呼び掛けを行いました。同時に現地雇用も視野に入れ、地元での担い手発掘を行いました。
    ボランティア受付書(様式ダウンロード エクセル形式(18KB))
  • 福島第一原発事故発生後、自宅での生活を継続することが困難であると判断したいわき自立生活センターの利用者・ヘルパー・家族ら33名が、東京へ約1ヶ月に渡り集団避難しました。東京都内の自立生活センター等が連携し介助派遣を行い、避難生活を支えました。

●災害発生から1ヶ月 後方支援活動の確立●

災害発生から1ヶ月後には、後方支援活動としての体制を確立させます。

1.救援本部事務局の役割として

★発災から1ヶ月を過ぎると、寄付や街頭募金での収入は減少していきます。同時に、様々な形の助成金やプロジェクトが動き始めますので、機会を逃さないよう積極的に情報収集と、活動アピールのための情報発信を行います。同時に、様々な形で活動を支援してくださる方々への感謝を忘れずに、支援者の気持ちに寄り添うことも、息の長い活動には大切です。
★活動が長期化すればするほど、障害者団体以外の支援団体との連携が必要になります。そして、省庁や議員との関係も重要となります。ロビー活動やNPOの全国的なネットワークとの連携のためには、東京の拠点の役割は大きいです。

東日本大震災時は…
  • 救援本部発足直後に、朝日新聞厚生文化事業団から支援いただけることが決まり、初動のための費用や「障害当事者派遣プロジェクト」等を実施することができました。また、活動の長期継続と車両整備のため新たな資金獲得が必要となった活動2年目には、NPO中間支援組織の仲介により、ボーイング社や、「タケダ・いのちとくらし再生プログラム」からの支援を受けることが決まりました。
  • 東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)の働きかけにより、支援団体等の要望・課題を、国・省庁と共に検討し、その回答及び情報提供・情報交換等のため協議の場が設けられ、救援本部としても意見提起を行いました。

2.支援センターの後方支援として

★仮設住宅への入居開始や自宅へ戻られる方が増え、物資のニーズが変わっていきます。また、支援内容も刻々と変化し、個別支援が増えていきます。地域の中での支援センターの役割は様々ですので、活動の長期化にあたり、支援センターでの課題や困り事などを把握するためのコミュニケーションや、柔軟な対応が求められます。
★ボランティアは、連休・長期休暇に増え、その後激減するということを繰り返します。地域によっては季節によっての増減もあります。また、被災地の危険度を救援本部が把握し、事前同意を得ることも必要です。
★支援センターの運営を担ってきた団体も、順次本来事業を再開していきます。支援センターの事務局が手薄になっていく中で、会計や総務、情報発信、個人情報や活動記録といったデータ管理が課題となります。支援センター運営の補助や、組織基盤を強化するための伴走支援が必要となります。

東日本大震災時は…
  • 重度訪問介護や相談支援、医療的ケアのニーズに合わせて、現地で研修会の開催や、障害当事者講師の派遣を行いました。また、移動送迎に関するニーズ増加に伴い、移送サービスの協力団体を募り、業務委託という形で連携を行いました。
  • 活動開始から半年が経過するタイミングで、救援本部からスタッフを派遣し、支援金や助成金の報告・精算のための整理を一斉に行いました。その後、各県担当者を決め、活動状況の把握や会計管理、事業化に向けた方針検討などの伴走を行いました。

必要な支援を届けるために、次の災害に活かすために:政策提言

私たちは障害者をはじめとする“災害弱者”と言われる人々が、必要な支援を得ながら社会参加をし、様々な関係をもって地域で暮らせるインクルーシブなコミュニティこそ、真に災害に強い社会であると考え、「政策提言」を救援本部の重要な活動の一つに据えました。
災害時に起きる問題の多くは、潜在的にあった地域の課題です。
緊急対策としての要望活動、復興に向けた計画の上での要望活動、これからの災害対策に向けた要望活動。様々な場面で、障害当事者としての声を挙げていく必要があります。

●政府や自治体に対する要望・要請活動●

1.緊急期

2.発災から半年~1年

3.これからの災害対策に

大規模災害に関する障害者支援についての政策提言~救援活動からの10の提言~ 【東北関東大震災障害者救援本部】2016年2月17日発行 [PDF]

避難方法
津波・洪水等が予想される地域においては、すべての障害者に確実に伝わる伝達手段で情報を発すること。また情報を受けた障害者が確実に避難できる手段・方法を確立しておくこと。
安否確認
安否確認についてはすべての障害者を網羅するとともに、安否確認により明らかになった障害者のニーズにこたえられる方法を確立すること。
避難所
一次避難所の段階から多様な避難所を準備するとともに、障害の種別に応じ適切な支援が受けられる場所を確保すること。
移動・送迎支援
災害直後から障害者の移動・送迎支援ができる体制を確保するとともに、民間団体が行う移動・送迎支援に対し、国として十分な支援を行うこと。
災害関連の情報発信
聴覚障害者等、コミュニケーションに配慮が必要な方々にとって、情報・コミュニケーション手段を保障することは命に関わることから、災害情報、避難情報、記者会見・ニュース・関連番組などに対して字幕付与を完全実施すること。
仮設住宅
仮設住宅建設に際しては、障害者だけでなく誰もが安心して暮らせる福祉住宅仕様を基本にすること。また敷地内においても舗装するなどバリアフリーな設計とすること。
復興住宅
復興住宅建設についてはすべてをバリアフリー仕様とするとともに障害者、高齢者など移動困難な人たちが利便性の高い地域に立てられる復興住宅に優先して割り当てられるよう配慮すること。
ユニバーサルデザイン仮設住宅提案書 (PDF)
復興まちづくり
復興のまちづくりについては計画段階から障害者が参画できるようにするとともに、商業施設や公共施設についてもバリアフリー仕様となるようにすること。
原発事故
原子力発電所の 30km圏内にいる障害者、高齢者、病人等のために、早急にシェルター等放射線防御の改修を国の責任で行われたい。また障害者、高齢者等の避難計画確立を早急に図られたい。さらに原発事故による避難に対しては 80km圏内の自主避難者に対しても十分な支援を図られたい。こういった避難対策が十分なされない中での原発再稼働は認めないこと。
平時の備え
障害者や高齢者などを含むあらゆる人の命を支える防災を目指していくために、平時からの備えを構築すること。

4.関連団体リンク

●支援活動の中で使える通達等のリンク集●

過去の大規模災害時に、省庁等から出された障害福祉サービスに関する弾力的措置や情報提供などの文書や情報発信サイトのリンク集です。
支援活動の中で使える通達等のリンク集

現在位置:ホーム > 防災・被災障害者支援 > 大規模災害時・障害者支援センター & 救援本部立ち上げマニュアル

ページトップへ